「動画を撮っている人、みんなNDフィルター付けてるな...」と思うことありますよね。NDフィルターをつけなくても撮れますが、とある条件があるために動画撮影をするときにはNDフィルターが必要なのです。
そこで今回は、NDフィルターをなぜ着ける必要があるのか解説します。
一眼カメラで動画を撮影したい人必見の内容です。
日中・明るい環境での動画撮影にNDフィルターが必要な理由
NDフィルターが必要な直接的原因はこれらがポイント。
- シャッタースピードはほぼ固定だから
- ISOもほぼ固定だから
- F値は開放が多いから
シャッタースピードはほぼ固定だから=動画には適正なシャッタースピードがある
まず結論から説明すると、動画というのは写真と違っておおよそ適切なシャッタースピードが決まっています。
動画のフレームレートにもよりますが、大体1/50secや1/100secに設定します。計算方法は記事の後の方で簡単に解説します。
その理由は主にこの2つです。(他にもあると思いますが、私はこのように認識しています)
- 自然な映像にするため
- フリッカーを抑えるため
自然な映像にするため
私たちが肉眼で見る映像というのは諸説ありますが、上記の適正と呼ばれるシャッタースピードの範囲内に収まるくらいのものだとされています。
この映像をご覧いただくと24fpsで1/500secのは、何だかパラパラ漫画感が強くないですか?
動画は写真の集合体ということを考えると、フレームレートが多いほどより細かな動きに対応できる分シャッタースピードを早くできますし、逆にフレームレートが少ないとシャッタースピードを遅くして、残像で間を補完する必要があるのです。
フリッカーの発生
補助的な内容ですが、日本の電気は、東日本は50Hz・西日本は60Hzです。つまり、この倍又はそれ以上に1秒間の間に蛍光灯や信号は点滅しています。
この動画をクリックしてもらうと、フリッカーの発生箇所から動画が再生されますが、バスの行き先表示や信号がチカチカしていますよね。
なので、電灯が点滅するよりも速いシャッタースピードでシャッターを切ってしまうと、その点滅が映ってしまいます。
東日本では1/100sec、西日本では1/120secよりも速いシャッタースピードです。
このようにシャッタースピードを適正に設定すると比較的僕たちが普段目で見ている映像と似ているものが撮れるためより自然に見えるわけです。
以上の理由から、ある程度適正なシャッタースピードというものは決まっているのです。
動画のシャッタースピードの計算式
一般的に適正なシャッタースピードというのは計算式は基本的にこのようになります。
1/2フレームレート
1/1でもいいのですが、ゆっくり過ぎると私は感じるで、1/2が丁度良いと思います。具体的なフレームレートとシャッタースピードの関係はこの通り。
フレームレート | 24fps | 30fps | 60fps |
シャッタースピード | 1/50sec | 1/60sec | 1/125sec |
ISOもほぼ固定で、F値は開放が多いから
上記のようにシャッタースピードは速くても、1/100くらいにすることが定石だとすると、日中はかなり露出が高くなるのは想像できると思います。
つまり、あとシャッタースピード以外で変えれるカメラの設定はF値かISOしかありません。
F値はボケにも関係するので動画の表現においても重要項目ですよね。ただ下げれてもF11まで。「F22くらいまで下げればいいじゃん」と思われても、F22まで下げると回折現象によって画質が劣化するので、最終手段と言えます。
F値を下げることによる画質の劣化、回折現象についての細かな話はこちらの記事で画像付きで解説しているのでどうぞ。
ということは残りの変更可能な設定はISO感度だけです。ただISOも拡張されていてもISO50が最低ですし、基本的にコントラストなどが劣化してしまうので下げてもISO100が限界です。
また、シネマカメラになるとベースISOがあり、画質を維持しながらISOを変えようとするとISO800とISO3200のように実質2択なので、結構明るいのです。
つまり、NDフィルターがないと昼間の明るいときには、基本露出オーバーで映像としては明るすぎますよね。
なので、このような理由でNDフィルターが必要になってきます。
ちなみに、動画用のNDフィルターは可変式が便利です。いちいち環境に応じて付け替えていては面倒ですからね。
ちなみに、安いものでも良いですが、そこそこ高級なものの方がやはりムラが少なかったりするので余裕のある方はNisiやKaniなどのものを買っておくのが無難です。
自分に必要なNDフィルターの濃度の決め方
簡単にですがNDフィルターとはどんなふうな見方をすれば良いのかです。
ND2からND1000とかまであるわけですが、適正露出に設定した状態でND2を装着すると1段分暗くなります。
ND2 | ND4 | ND8 | ND16 | |
---|---|---|---|---|
光量 | 1/2 | 1/4 | 1/8 | 1/16 |
絞り段数 | 1段 | 2段 | 3段 | 4段 |
透過率 (未装着比) | 50% | 25% | 12.5% | 6.25% |
ここら辺はいろんな要素が絡んでくるので、ドンピシャで決めるのは難しいです。
ですから、基本的にND2-64程度の範囲のものを買っておけば大抵は事足ります。たまにND1000まで必要なこともあるので2枚程度フィルターは持っておくのが無難です。
NDフィルターも結構奥が深い話になりますので、別記事で解説しています。気になる方はこちらの記事をご覧ください。
動画撮影にNDフィルターを使うデメリット
- 脱着等の手間が増える
- 画質の低下
NDフィルター脱着等の手間が増える
もしあなたが動画機と写真機を分けていない場合、当然写真を撮影するときにNDフィルターは邪魔です。
なので、機材を併用している場合は手間が増えることがデメリットといえます。この手間が増えることが面倒で私は以前は使用していませんでした。(詳細な話は後で)
NDフィルターをつけることによる画質の劣化
レンズを一枚増やすので、フィルターの状況や製品の品質によっては、画質が落ちる可能性もあります。特にフレアやゴーストは発生しやすくなります。
ススキの下あたりの縞のようなものとか。
NDフィルターはつけっぱなしでも大丈夫?
このように心配する方もいらっしゃるようですが、保管という意味では基本的には大丈夫です。
たまに埃をとってあげたり、マイクロファーバーなどで指紋などの汚れを取るようにすれば、普段のレンズの扱いと何ら変わることはありません。
しばらく使わないのであれば、取り外してケースに入れてくださいね。
NDフィルターは必須ではないのではないか
NDフィルターの必要性について述べてきましたが、必ず必要なわけではないと私は考えています。
というのも、動物や動きの速い被写体を撮影したければ、ブレさせないためにシャッタースピードは1/500secくらいに上げたりする必要もあります。なので、NDフィルターが必須な環境は多いですが、写真と同じで表現したい形や好みによって変わります。
私は動画の撮影をずっと写真感覚でシャッタースピードを決めてきていて、NDフィルターを使って撮影してこなかったです。
FX30を導入して以降は使うようになりましたので、過去の発言として参考程度に読んでください。
この足元の動画が一番の理由ですが、残像が大き過ぎて視線がそちらに持ってかれるような気がするので、NDフィルターは使わなくていいかなと思っています。
また私がNDフィルターが必要ないと感じた理由については様々なので、これ以外も知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。特にワンオペで動画撮影されている方には共感してもらえる内容になっています。
今ではこちらのNDフィルターを使って撮影するようになりました。
CPLフィルター付きなので、より鮮やかな映像になる効果があります。
まとめ : 自分の好みで選んでみて
確かに動画撮影にNDフィルターは必要ですが、生業にしていない人や軽く記録程度での撮影の人に必要かと言われれば、Noというような気がします。
手間が増えても、綺麗に動画を残したい!という人はぜひ、NDフィルターありの動画撮影を試してみてください。
以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!