SONY FX30におすすめのSDカード/CFexpressカード|記録方式•設定別解説

2023,08/26

FX30はSDカードとCFexpressカードが使えます。しかし記録方式によってはSDカードだけでも十分でその価格差は数万円です。

そこで今回は、FX30のメモリーカードの選び方の観点を記録方式など踏まえつつ詳しく解説します。

自分にとって必要十分なスペックを知りたい人必見の内容です。

この記事で学べること
工藤瑛志
・XAVC HSとXAVC S-Iの違い
・録画方法に適したメモリーカードのスペック

・FX30のビットレート

SONY FX30におすすめのSDカード/CFexpressカード|記録方式•設定別解説

選び方の観点はいくつかありますがおおよそ以下の3つに絞れます。

  • 圧縮方式 : ALL-Intra / Long GOP
  • 記録方式:求める画質(ビットレート)
  • 画素数

圧縮方式 : ALL-Intra / Long GOP

XAVC HSとは

XAVC HSは、高画質なビデオを記録するためのソニーによるビデオ記録方式です。最大8K解像度や120fpsの高フレームレートでの撮影が可能であり、効率的な圧縮技術を使用して高品質な映像を保存します。

XAVC HSの圧縮技術は、高効率なビデオ圧縮を実現するための特徴があります。

XAVC HSの特徴
  • H.265/HEVC コーデック
  • XAVC HSは、H.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)と呼ばれる圧縮コーデックを採用しています。このコーデックは、前世代のH.264よりも優れた圧縮効率を持ち、同じ画質を保ちながらファイルサイズを小さくすることが可能です。

  • フレーム間予測
  • H.265/HEVCコーデックは、フレーム間予測技術を使用して、前後のフレームから画像データを予測し、差分データを圧縮します。これにより、冗長な情報を排除しつつ、高品質な映像を実現します。

これらの特徴により、XAVC HSは高解像度で高品質な映像を効率的に圧縮することができる記録方式となっています。

XAVC S-Iとは

XAVC S-Iは、ソニーが開発したビデオ記録方式の一つで、高画質な映像を記録するために使用されます。

XAVC S-Iの特徴
  • All-I圧縮方式
  • XAVC S-Iは、All-Intra(All-I)と呼ばれる圧縮方式を採用しています。この方式では、各フレームごとに個別の圧縮が行われ、映像データがフレーム間で共有されません。これにより、高い画質と詳細な映像が実現されますが、ファイルサイズは比較的大きくなります。

  • 高ビットレート記録
  • XAVC S-Iは、高いビットレートでの記録が可能です。これにより、高解像度や高フレームレートの映像でも、映像品質を維持しながら記録することができます。

  • プロフェッショナル向け
  • XAVC S-Iは、プロフェッショナルなビデオ制作や映画制作など、高度な映像制作に使用されることが多いです。高い画質と映像の細部を重視する状況に適しています。

総じて言えば、XAVC S-Iは高品質な映像を重視し、ファイルサイズの大きさにあまり配慮しない場面で使用される記録方式です。

つまり、両者の特徴としてXAVC HSは高画質でありつつ小さなファイルサイズ、XAVC S-Iは高画質でありつつ大きなファイルサイズです。

注意点として編集時にXAVC HSの方はPCスペックが要求されます。

XAVC S-I DCIとは

端的にいえば映画撮影に使うフォーマットです。

XAVC S-I DCIは、ソニーのXAVC S-I記録方式を使用して、デジタルシネマイニシアティブ(DCI)スタンダードに準拠した映像を記録するためのフォーマットです。

XAVC S-I DCIの特徴
  • DCIスタンダードに準拠
  • XAVC S-I DCIは、デジタルシネマイニシアティブ(DCI)が定めるスタンダードに準拠しています。これにより、映画館での上映に適した映像を記録することができます。

  • 少し縦方向が長い
  • XAVC S-I DCIは、4K(4096 x 2160)および2K(2048 x 1080)の解像度での記録が可能です。デジタルシネマの制作において、高解像度な映像を保持することができます。

  • All-I圧縮方式
  • XAVC S-I DCIもXAVC S-Iと同様に、All-Intra(All-I)圧縮方式を使用しています。これにより、各フレームごとに個別の圧縮が行われ、高品質な映像が実現されます。

  • 映画制作向け
  • XAVC S-I DCIは、映画制作やデジタルシネマ向けに設計されています。DCIスタンダードに準拠し、高品質な映像を提供することができるため、映画製作者に選ばれることがあります。

つまり、XAVC S-I DCIは、デジタルシネマでの映画制作に適した高品質な映像を記録するためのフォーマットです。

さらに詳細な説明はソニー公式のこちらの記事を参照ください。

記録方式:求める画質(ビットレート)

カード選びの注意点 : 転送速度

FX30はご存知の通りSDカードとCFexpressTypeAが使えます。

どちらを使うか、どれくらいの転送速度が必要かは、FX30の記録方式によって選ぶべきカードの種類が異なります。

特に120fpsや240fpsのフレームレートで撮影をするかで大きな分かれ目かあります。

スローモーション撮影では、通常より記録ビットレートが高くなるため、高速で書き込めるメモリーカードが必要となる場合があります。

Sony ヘルプガイド「使用できるメモリーカード」

メーカー公式の推奨メモリーカードスペック

メモリーカードの読み方

V60やV90というのは、SDカードの速度クラスを表すものです。例えば、V60であれば最小連続書き込み速度が60MB/s(メガバイト/秒)であることを示します。この辺りのSDカードに関する知識はこちらの記事にて詳しく解説しています。

VPG(Video Performance Guarantee)は、CFexpressカードの速度クラスを表すものです。例えば、VPG200であれば最低でも200MB/sの連続転送速度を保証します。SDカード規格で例えると「V200」に相当します。

SDHCやSDXCというのはSDカードの容量の範囲を指します。SDHCは4から32GB、SDXC64GB以上のSDカードのことを言います。

通常撮影

記録方式と対応メモリーカードは以下の通りです。

記録方式最大記録ビットレート対応メモリーカード
XAVC HS 4K280MbpsCFexpress Type A(VPG200以上)
SDXCカード(V60以上)
XAVC S 4K280MbpsCFexpress Type A(VPG200以上)
SDXCカード(V60以上)
XAVC S HD100MbpsCFexpress Type A 
SDHC、SDXCカード(U3(=V30)以上)
XAVC S-I 4K600MbpsCFexpress Type A(VPG200以上) 
SDXCカード(V90以上)
XAVC S-I HD222MbpsCFexpress Type A(VPG200以上) 
SDXCカード(V90以上)
XAVC S-I DCI 4K600MbpsCFexpress Type A(VPG200以上) 
SDXCカード(V90以上)
スロー&クイックモーション撮影時

記録方式と対応メモリーカードは以下の通りです。

記録方式最大記録ビットレート対応メモリーカード
XAVC HS 4K500MbpsCFexpress Type A(VPG200以上)
SDXCカード(V60以上)*1
XAVC S 4K560MbpsCFexpress Type A(VPG200以上)
SDXCカード(V60以上)*1
XAVC S HD500MbpsCFexpress Type A
SDXCカード(V60以上)*2
XAVC S-I 4K1200MbpsCFexpress Type A(VPG200以上) 
SDXCカード(V90以上)*3
XAVC S-I HD890MbpsCFexpress Type A(VPG200以上) 
SDXCカード(V90以上)*4
XAVC S-I DCI 4K600MbpsCFexpress Type A(VPG200以上) 
SDXCカード(V90以上)*3
*1[フレームレート]が[120fps]のときはV90が必要になる場合があります。
*2[フレームレート]が[240fps]のときはV90が必要になる場合があります。
*3 スローモーション撮影時はCFexpress Type Aメモリーカード(VPG200以上)が必要です。
*4[フレームレート]が[240fps]のときはCFexpress Type Aメモリーカード(VPG200以上)が必要です。

引用:SONYヘルプガイド「使用できるメモリーカード」

自分に必要な容量の求め方

ここでのおすすめカードの紹介は公式推奨のスペックと私の普段使ってみて必要なスペックの感覚を併せています。

私が普段使いしていて実績のあるメーカーがSanDiskとProGradeなのでそれらをご紹介しますが、スペックが同等ならメーカーはお好きなのを選んでください。

容量について

動画のビットレートとSDカードの容量は、互いに密接に関連しています。ビットレートが高いほど、高品質な映像ですが、当然ファイルサイズも大きくなります。逆に、低いビットレートでは画質が劣化しますが、ファイルサイズは小さくなります。

SDカードの容量は、ビットレートと動画の長さによって必要なスペースが決まります。以下のポイントに注意しながら選ぶと良いでしょう。

容量の計算

容量の計算式は「ビットレート × 動画の長さ」です。

このとき、ビットレートはMbps=Mb(メガビット)/秒の場合とMB/s=MB(メガバイト)/秒の場合がありますので注意してください。

「b」と「B」の違いについて、「Mbps」の「b」は「bit」(ビットの略)を意味します。

「MB/s」の「B」は「Byte」(バイトの略)を意味します。

「b」と「B」の関係は、「8bit = 1Byte」です。
「Mbps」を8で割った数値が「MB/s」にあたります。

引用 : SoftBank 「[用語集]通信速度で使われる「Mbps」はどんな単位ですか?」

通常撮影の表からどれくらいの容量になるのか計算してみましょう。

XAVC S-I 4Kだと600Mbpsなので、8で割ると75MB/sです。64GBのSDカードを挿すと、64GB×1000で64000MB。つまり、64000÷75≒853秒=14分の素材を撮影可能ということになります。

しかし、当然最大記録のビットレート、つまりは一番フレームレートを高くした状態での撮影時なので、フレームレートを落とせばここまで容量を圧迫しません。

簡単に表にしてみました。

-XAVC HS 4K 422 10bit-

23.98fps59.94fps119.88fps
100Mbps200Mbps200Mbps
29.97fpsでの撮影はXAVC HS 4Kにはありません。

-XAVC S-I 4K 422 10bit-

23.98fps29.97fps59.94fps
240Mbps300Mbps600Mbps

HDの場合は大体4Kの1/2から1/3程度だと考えてください。

撮影設定別の必要スペックとおすすめのカード紹介

最低限のこれだけあれば停止することはないと考えられるスペックです。これより高い場合には基本的には大丈夫です。

HD撮影

ファイルの軽さ重視:XAVC S(Long GOP)
SDカード
・V30以上
・32GB以上
・UHS-I
ファイルの軽さ重視:XAVC S(Long GOP)<br /> +カラーグレーディング : Log撮影<br /> +スローモーション : 120-240fps
SDカード
・V60以上
・R : 読み込み速度 200MB/s以上
・W : 書き込み速度 100MB/s以上
・容量 64GB以上
・UHS-II

画質重視 : XAVC S-I(ALL-Intra)
SDカード
・V90以上
・64GB以上
・UHS-II
画質重視 : XAVC S-I(ALL-Intra)<br /> +カラーグレーディング : Log撮影<br /> +スローモーション : 120-240fps
SDカード
・V90以上
・R : 読み込み速度 300MB/s以上
・W : 書き込み速度 250MB/s以上
・容量 64GB以上
・UHS-II

4K撮影

ファイルの軽さ重視:XAVC HS(Long GOP)
SDカード
・V60以上
・R : 読み込み速度 250MB/s以上
・W : 書き込み速度 150MB/s以上
・容量 64GB以上
・UHS-II
ファイルの軽さ重視:XAVC HS(Long GOP)<br /> +カラーグレーディング : Log撮影<br /> +スローモーション : 120-240fps
SDカード
・V90以上
・R : 読み込み速度 300MB/s以上
・W : 書き込み速度 250MB/s以上
・容量 64GB以上
・UHS-II
画質重視 : XAVC S-I(ALL-Intra)
SDカード
・V90以上
・R : 読み込み速度 300MB/s以上
・W : 書き込み速度 250MB/s以上
・容量 128(64)GB以上
・UHS-II
画質重視 : XAVC S-I(ALL-Intra)
全+カラーグレーディング : Log撮影

+スローモーション : 120-240fps

CFexpress TypeA
・VPG400
・R : 読み込み速度 800MB/s以上
・W : 書き込み速度 700MB/s以上
・容量 128GB以上

メモリーカードのお得に買う方法

ProGrade製品に限らず、SDカードはAmazonタイムセールでかなりお得なる可能性が高い商品です。今すぐ必要というわけでなければタイムセールをぜひ活用してみてください。

また、タイムセール以外でもお得なる情報も紹介しているので、ぜひこちらの記事も見ていただけると幸いです。

最後に伝えたいこと : 余力を残せるカード選びを

最初の頃はこれくらいでいいやとV30などのカードを買ってもあとからFX30の機能を使いたくてもメモリーカードスペックによって機能が制限される可能性は考えられます。

もし悩まれる場合は後からの余分な追加投資を考えれば、最初から余力を残せるメモリーカードを選んでおきましょう。

以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!

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