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「折角一眼カメラを買ったのに、適切な明るさに撮影できない」とストレスを感じていませんか。右の写真のように白くて何が映っているか分からない箇所を白飛びといいます。


そこで今回は、この白飛びする根本的な原因・仕組みと具体的な改善方法を解説します。
一眼カメラが難しいと感じている人必見の内容です。
この記事で学べること
・カメラの基礎知識
・カメラの用語の基礎知識
空が白くなる(白飛び)の原因
原因はさまざまですが、大きく分けるとこの5つ
ココがポイント
・オートフォーカスを合わせる位置
・露出の値が0
・シャッタースピードが遅い
・F値が開放
・環境が明るい・明暗差が大きい
オートフォーカスを合わせる位置
カメラの特性ですが、撮影時の全体の明るさ(露出)はオートフォーカスのエリアに合わせて決定されます。(Mモードは例外)
この写真でいえば、中央部のフォーカスエリアに露出が合わさります

つまり、空などが白飛びしてしまうときはこのフォーカスのエリアを暗い箇所に合わせている可能性があります。


露出の値が0
先ほどのフォーカスのエリアと関係することですが、ISO感度が自動だとフォーカスのエリア内の露出をカメラは適正なものにしようとします。
ISO感度とは
ISO感度とは、カメラの光に対する感度を調整するための設定。ISO感度を高く設定すると、暗い場所でもより多くの光を取り込むことができますが、その分画像にノイズが多くなる。ISO感度を低く設定すると、適切な露出の画像を得るために多くの光を必要としますが、ノイズは少なくなる。ISO値は、照明条件や求める効果に応じて、画像の明るさとノイズのバランスを取るために変更可能。
なので、カメラの露出値は真ん中の0が適正な露出であり、表示上は合っているように見えても、屋外の日中等の明るい環境では白飛びするくらい明るくなってしまいます。

シャッタースピードが遅い
シャッタースピードとは
カメラのシャッターが開いていて、カメラのセンサーに光が到達する時間のこと。単位は秒または1秒の端数(例:1/500秒)です。シャッタースピードが遅いと被写体の動きがぶれ、速いと動きが止まる。シャッタースピードを調整することで、カメラに入る光の量をコントロールすることができ、画像全体の露出に影響を与えることができる。
シャッタースピードは環境や被写体によってある程度、定石となる設定があります。

なので、昼間の晴れた日にシャッタースピードを1/100secなどにしてしまうと白飛びしてしまいます。
F値が開放
F値とは
(レンズの焦点距離と絞りの直径の比率で)カメラに入る光の量を決めるものです。F値が小さいほど、センサーに届く光の量が増えるため、ボケやすく、暗いところでも明るい画像が得られる。F 値が大きいほど、センサーに届く光は少なくなるため、ボケにくく、明るい条件下では暗い画像になる。



F値の数字が小さいほど明るくなるため、単焦点のレンズなどを使っている場合、その分シャッタースピード等でバランスを取らないと白飛びしてしまいます。
環境が明るい・明暗差が大きい
先ほどから"昼間の明るい時"と言っているように、環境そのものが明るい場合は当然白飛びしやすくなります。
また、人の眼と異なりカメラの表現可能な明るさの範囲にはかなり制限があります。なので、肉眼で夜の月を見ると星と月が両方しっかりとディティールまで見ることが可能ですが、カメラで写そうとするとどちらかは白飛びするか黒潰れしています。
この写真だと月が白飛びしました


この表現の幅をダイナミックレンジといいますが、これはセンサーサイズが大きいほど広くなりやすいため、よくフルサイズを買えなどと言われるわけです。
空が白くなる(白飛び)の改善方法
白飛びの改善方法はたくさんあります。簡単なものから少し難しいものまでご紹介します。
- 明るい場所に合わせて撮影する
- 露出の値を-1≦露出値<0にする
- シャッタースピードを速くする
- NDフィルターを使う
- ISO感度を下げる
- F値を下げる
- ファインダーを覗いて撮影する
明るい場所に合わせて撮影する
フォーカスのエリアに合わせてカメラは露出を合わせると説明しました。


そしてカメラは暗部の情報は残りやすいですが、明部の情報は切り捨てられやすいです。これくらいでも大丈夫なほど。
ただし、ここまでの修復にはRAWでの撮影画が前提
なので、明るい方に合わせて撮り、多少の黒潰れには目をつぶりましょう。
露出の値を-1≦露出値<0にする
人物撮影などのボケが重要な時には、明るい場所にフォーカスを合わせるなどのことはしにくいと思います。


なので、そもそもの明るさを低くしてしまえば解決です。目安はこの範囲。これでも明るい場合はこれより低くしてもいいです。
シャッタースピードを速くする
S(Tv)やMモード以外はカメラが自動で設定してくれますが、F値はボケとして影響が大きいので、マニュアルで調整した方がいい場合もあります。



定石があるとはいいましが、F値ほど表現に影響しないので問題ありません。一段ずつ、速くして調整していきましょう。
【応用】NDフィルターを使う
もしも、どうしても水の表現などでシャッタースピードは動かせないという場合にはNDフィルターというサングラスのようなものをレンズに被せると明るさを下げることが可能です。


NDフィルターについての詳細な記事はこちらをご覧ください。
ISO感度を下げる
Autoモードなどを使っているとISO感度が自動で高くなっていることがあったりします。夜景などでは便利な機能ですが、あまり高いとノイズが乗ってしまうので、明るい環境では基本的にISO100固定にするなどするといいでしょう。


F値を下げる
F値はボケに関係してきますが、風景などの場合は無限遠で撮影したりするのでボケがあまり関係なくなるため、シャッタースピードでの調整よりF8近辺まで絞った方が均等にピントが合い画質も向上します。



ファインダーを覗いて撮影する
直接白飛びと関係ないですが、モニターで露出を合わせていると太陽の光が強い環境では必要以上に明るく撮ってしまう場合があります。
夜のスマホの画面の明るさは暗くても見えますが、晴れた外の日は画面を明るくしないと見えないですよね。


なので、ファインダーを覗いて外部の光をシャットアウトした状態で撮影すると適切な露出で撮影することができます。
まとめ : 最終的にはマニュアルが理想
いかがでしたでしょうか。
白飛びの解決方法はさまざまあります。しかし根本的にはシャッタースピード・F値・ISOの関係がすべてなので、最終的にマニュアルですべて設定した方が楽なことも多いです。
カメラも賢くなっていますが、オートだとカメラごとの癖もありますし、表現に限界があるので基礎を抑えたらぜひマニュアルに挑戦してみてください。
以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!