動画 : 機材のこと 動画のハウツー

日中・明るい環境での動画撮影にNDフィルターが必要な理由と装着によるデメリット

2022,11/14

「動画を撮っている人、みんなNDフィルター付けてるな...」と思うことありますよね。NDフィルターをつけなくても撮れますが、とある条件があるために動画撮影をするときにはNDフィルターが必要なのです。

そこで今回は、NDフィルターをなぜ着ける必要があるのか解説します。

一眼カメラで動画を撮影したい人必見の内容です。

日中・明るい環境での動画撮影にNDフィルターが必要な理由

NDフィルターが必要な直接的原因はこれらがポイント。

  • シャッタースピードはほぼ固定だから
  • ISOもほぼ固定だから
  • F値は開放が多いから

シャッタースピードはほぼ固定だから=動画には適正なシャッタースピードがある

まず結論から説明すると、動画というのは写真と違っておおよそ適切なシャッタースピードが決まっています

動画のフレームレートにもよりますが、大体1/50secや1/100secに設定します。計算方法は記事の後の方で簡単に解説します。

その理由は主にこの2つです。(他にもあると思いますが、私はこのように認識しています)

  • 自然な映像にするため
  • フリッカーを抑えるため
自然な映像にするため

私たちが肉眼で見る映像というのは諸説ありますが、上記の適正と呼ばれるシャッタースピードの範囲内に収まるくらいのものだとされています。

この映像をご覧いただくと24fpsで1/500secのは、何だかパラパラ漫画感が強くないですか?

動画は写真の集合体ということを考えると、フレームレートが多いほどより細かな動きに対応できる分シャッタースピードを早くできますし、逆にフレームレートが少ないとシャッタースピードを遅くして、残像で間を補完する必要があるのです。

フリッカーの発生

補助的な内容ですが、日本の電気は、東日本は50Hz・西日本は60Hzです。つまり、この倍又はそれ以上に1秒間の間に蛍光灯や信号は点滅しています。

この動画をクリックしてもらうと、フリッカーの発生箇所から動画が再生されますが、バスの行き先表示や信号がチカチカしていますよね。

なので、電灯が点滅するよりも速いシャッタースピードでシャッターを切ってしまうと、その点滅が映ってしまいます。

東日本では1/100sec、西日本では1/120secよりも速いシャッタースピードです。

このようにシャッタースピードを適正に設定すると比較的僕たちが普段目で見ている映像と似ているものが撮れるためより自然に見えるわけです。

以上の理由から、ある程度適正なシャッタースピードというものは決まっているのです。

動画のシャッタースピードの計算式

一般的に適正なシャッタースピードというのは計算式は基本的にこのようになります。

1/2フレームレート

1/1でもいいのですが、ゆっくり過ぎると私は感じるで、1/2が丁度良いと思います。具体的なフレームレートとシャッタースピードの関係はこの通り。

フレームレート24fps30fps60fps
シャッタースピード1/50sec1/60sec1/125sec

ISOもほぼ固定で、F値は開放が多いから

上記のようにシャッタースピードは速くても、1/100くらいにすることが定石だとすると、日中はかなり露出が高くなるのは想像できると思います。

つまり、あとシャッタースピード以外で変えれるカメラの設定はF値かISOしかありません

F値はボケにも関係するので動画の表現においても重要項目ですよね。ただ下げれてもF11まで。「F22くらいまで下げればいいじゃん」と思われても、F22まで下げると回折現象によって画質が劣化するので、最終手段と言えます。

F値を下げることによる画質の劣化、回折現象についての細かな話はこちらの記事で画像付きで解説しているのでどうぞ。

ということは残りの変更可能な設定はISO感度だけです。ただISOも拡張されていてもISO50が最低ですし、基本的にコントラストなどが劣化してしまうので下げてもISO100が限界です。

また、シネマカメラになるとベースISOがあり、画質を維持しながらISOを変えようとするとISO800とISO3200のように実質2択なので、結構明るいのです。

つまり、NDフィルターがないと昼間の明るいときには、基本露出オーバーで映像としては明るすぎますよね。

なので、このような理由でNDフィルターが必要になってきます。

ちなみに、動画用のNDフィルターは可変式が便利です。いちいち環境に応じて付け替えていては面倒ですからね。

ちなみに、安いものでも良いですが、そこそこ高級なものの方がやはりムラが少なかったりするので余裕のある方はNisiやKaniなどのものを買っておくのが無難です。

自分に必要なNDフィルターの濃度の決め方

簡単にですがNDフィルターとはどんなふうな見方をすれば良いのかです。

ND2からND1000とかまであるわけですが、適正露出に設定した状態でND2を装着すると1段分暗くなります。

ND2ND4ND8ND16
光量1/21/41/81/16
絞り段数1段2段3段4段
透過率
(未装着比)
50%25%12.5%6.25%

ここら辺はいろんな要素が絡んでくるので、ドンピシャで決めるのは難しいです。

ですから、基本的にND2-64程度の範囲のものを買っておけば大抵は事足ります。たまにND1000まで必要なこともあるので2枚程度フィルターは持っておくのが無難です。

NDフィルターも結構奥が深い話になりますので、別記事で解説しています。気になる方はこちらの記事をご覧ください。

動画撮影にNDフィルターを使うデメリット

  • 脱着等の手間が増える
  • 画質の低下

NDフィルター脱着等の手間が増える

もしあなたが動画機と写真機を分けていない場合、当然写真を撮影するときにNDフィルターは邪魔です。

なので、機材を併用している場合は手間が増えることがデメリットといえます。この手間が増えることが面倒で私は以前は使用していませんでした。(詳細な話は後で

NDフィルターをつけることによる画質の劣化

レンズを一枚増やすので、フィルターの状況や製品の品質によっては、画質が落ちる可能性もあります。特にフレアやゴーストは発生しやすくなります。

ススキの下あたりの縞のようなものとか。

NDフィルターはつけっぱなしでも大丈夫?

このように心配する方もいらっしゃるようですが、保管という意味では基本的には大丈夫です。

たまに埃をとってあげたり、マイクロファーバーなどで指紋などの汚れを取るようにすれば、普段のレンズの扱いと何ら変わることはありません。

しばらく使わないのであれば、取り外してケースに入れてくださいね。

NDフィルターは必須ではないのではないか

NDフィルターの必要性について述べてきましたが、必ず必要なわけではないと私は考えています。

というのも、動物や動きの速い被写体を撮影したければ、ブレさせないためにシャッタースピードは1/500secくらいに上げたりする必要もあります。なので、NDフィルターが必須な環境は多いですが、写真と同じで表現したい形や好みによって変わります。

私は動画の撮影をずっと写真感覚でシャッタースピードを決めてきていて、NDフィルターを使って撮影してこなかったです。

FX30を導入して以降は使うようになりましたので、過去の発言として参考程度に読んでください。

この足元の動画が一番の理由ですが、残像が大き過ぎて視線がそちらに持ってかれるような気がするので、NDフィルターは使わなくていいかなと思っています。

また私がNDフィルターが必要ないと感じた理由については様々なので、これ以外も知りたいという方はこちらの記事を参考にしてみてください。特にワンオペで動画撮影されている方には共感してもらえる内容になっています。

今ではこちらのNDフィルターを使って撮影するようになりました。

CPLフィルター付きなので、より鮮やかな映像になる効果があります。

まとめ : 自分の好みで選んでみて

確かに動画撮影にNDフィルターは必要ですが、生業にしていない人や軽く記録程度での撮影の人に必要かと言われれば、Noというような気がします。

手間が増えても、綺麗に動画を残したい!という人はぜひ、NDフィルターありの動画撮影を試してみてください。

以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!

初心者の90%が意識できていなくて、上級者が無意識にやっている3つの撮影のコツ

Black Magic Cameraアプリ : iPhoneの使い方徹底解説|撮影から素材共有まで

一眼カメラの写りがiPhone・Android(スマホ)以下になる撮り方・設定・環境

初心者へのカメラ選びはCanon,Sonyを薦める4つの理由

センスの良い、優れた写真とはどんな要素を持った写真?|構図編

機材はどのECサイトで買うのがベスト?カメラ4台持ちが考える最適解

SDカードの適切な選び方:撮影を快適にする転送速度や容量の関係

センサーサイズが違うと何が変わる?自分に最適なセンサーサイズの選び方

イルカショーを一眼カメラで上手に撮る設定・撮り方を徹底解説【マクセル アクアパーク品川】

写真が下手か上手かは写真が記録であるか作品であるかの違い

RAWデータをPCからそのままLINEなどのSNSへ送信する2つの方法

軽さは正義!カメラにおいて軽いことが重要な3つの理由

【初心者必見】写真の青空が白くなる(白飛び)等の光が入り過ぎる5つの原因と改善方法|コンデジ・一眼レフ・ミラーレス一眼カメラ

手振れ補正に頼らず手ブレを抑えるため対策方法【シャッタースピード知識】

写真構図のInstagramを活用した上達法|たったひとつの原則作り

【初心者必見】写真が上手な人が”必ず”意識している5つのポイント

家でできる!写真撮影のセンスを磨く3つの方法

独学風景写真家が選ぶ!写真関連おすすめ本9選【2022年版】

写真の世界観・雰囲気を作るための色温度の重要性|Lightroom

【iPhone】夜にノイズを少なく写真を撮る方法

日中・明るい環境での動画撮影にNDフィルターが必要な理由と装着によるデメリット

写真で違和感なく色を鮮やかに現像する方法|Lightroom

【初心者必見】写真がずっと上手くならない5つの行動

【PC版Lightroom】一括現像・レタッチの方法を2つ解説

カメラの進化・SNS普及で感性や配慮が大切になった話

一眼カメラに撮れてスマホに撮れない写真5選

【映画風レタッチ】3ステップでLightroomで映画風に現像する方法

【一眼カメラ】センサーサイズはフルサイズのメリットが大きい理由

RAWやJpegの写真データを長期保存する3つの方法

紅葉の撮り方のコツは4つ!誰でも簡単にできる方法を紹介

NDフィルターの使い方、シャッタースピード計算方法とコスパ最強NDフィルター紹介

【完全版】センスがなくても確実に上手くなる!技術の磨き方

良い構図はトリミングでも決まる!コツを徹底解説

意識すれば劇的に上手くなる!写真の基礎構図7選を作例で紹介

風景写真に立体感を生み出すレタッチ方法|Adobe Lightroom/Photoshop

初心者がやりがちなミス5選!とその具体的な改善方法

【保存版】展望台からの夜景を絶対に失敗しない撮り方

「高いカメラを買うと上手くなる」理由を解説

初心者から素早く上達するための4つの簡単なポイント

【フィルム風レタッチ】フィルムカメラで撮影した風に加工する方法|Adobe Lightroom

Lightroomでレトロ風、エモい感じにレタッチする方法

カメラ初心者が必要なアイテム・備品のすべて

カメラストラップの選び方と風景写真家お勧めのストラップ紹介

一眼カメラを買うべき人の3つの要素

カメラのモードダイヤルの使い分けを初心者向けに徹底解説

Lightroomのレンズ補正とはどんな機能か、画像で解説

桜のある風景写真を4つのテーマでレタッチ解説

RAWデータの扱いとスマホへ共有する3つの方法

一眼レフ・ミラーレス、ビデオカメラ用三脚の選び方の重要な4つの基準

X(旧Twitter)で4K画質の写真をアップロード/ダウンロードできない理由と可能にする方法

高画素数=高画質になるとは限らない!カメラの画素数の話

【初心者必見】カメラ選びで注目すべき5つのポイント

InstagramのHUB(ハブ)とフィチャーの役割と効果について解説

レンズフードはいらないのか。レンズフードの効果

フレアとゴーストってなに?発生原因と消す方法について簡単解説

一眼レフとミラーレスは全く異なる!3つの大きな違いと選び方

OVFとEVFの大きな違いと撮影時のメリット・デメリット|一眼レフ・ミラーレス一眼

RAWとJPEGの画質面の違い。レタッチが必須となる理由

【デジカメ用語のBit】画質に直結するビットを簡単解説

【人間の眼が最強!?】カメラ用語のダイナミックレンジ

【徹底解説】35mm換算をする理由とイメージサークルの関係

一眼カメラの交換式レンズ(単焦点レンズ・ズームレンズ)の種類と撮れる写真

オートン効果で幻想的な写真に!Adobe Photoshopでエフェクトをかける方法

【PC・iPhone・iPad】HSLの使い方解説|Adobe Lightroom,Photoshop

【初心者必見】自然な彩度と彩度の違いをマスター|Adobe Lightroom

【初心者必見】白レベルとハイライト、黒レベルとシャドウの違いを簡単解説|Adobe Lightroom

最も画質が良くなるF値がある!F値に関するボケ以外の知識

F値が大きく変える、ボケや明るさとの関係【初心者必見】

シャッタースピードを変化させて長時間露光(バルブ)で表現を増やそう

シャッタースピードの決め方・被写体ごとの目安【初心者必見】

-動画 : 機材のこと, 動画のハウツー
-, , ,