カメラで写真や動画を記録するためには必ずSDカードを差し込む必要があります。しかし、SDカードは何でもいいというわけではなくカメラの画素数や連射速度などによって最適なSDカードは変わってきます。
そこで今回は、SDカードの性能の読み方から具体的な画素数や連射速度等のカメラの性能から最適と思われるSDカードのレベル帯をご紹介します。
SDカードの運用を最適化したい人必見の内容です。
今回はマイクロSDカードは扱いません。
この記事で学べること・写真撮影に最低限必要なスペック
・動画撮影に最低限必要なスペック
SDカードの適切な選び方:撮影を快適にする転送速度や容量の関係
SDカード選びにおいておおよそ判断基準となるのは以下の3つの要素です。
ココがポイント
・転送速度
・スピードクラス
・容量
写真と動画によって異なるものですが、一旦全て解説しますね。具体的にどんなカードがいいかについては写真と動画を個別に記していきます。
転送速度 : UHS-I UHS-II
SDカードの転送速度は写真撮影や動画撮影において重要な要素です。理由としては写真や動画の場合で異なります。
写真撮影の場合、高速な転送速度のSDカードを使用することで、カメラがより早く写真を保存できます。これにより、連続撮影時にシャッターを素早く押すことができ、瞬間の捉えることが可能です。
また、RAW形式で写真を撮影する場合、ファイルサイズが大きくなります。高速なSDカードはRAWファイルを高速に保存することができ、撮影時の待ち時間を減らしてくれます。
動画撮影の場合、高解像度や高フレームレートの動画を撮影する際には、大量のデータが発生します。高速なSDカードはこれらの大容量データを効率的に処理できるため、ストレスなくスムーズな動画撮影が可能です。
また、UHD/4Kまたは8Kのような高解像度の動画を撮影する場合、SDカードの転送速度が低いとデータが書き込み中に遅れる可能性があり、途中で撮影が止まってしまうことがあります。
右の画像に「I」や「II」の表記が見えると思います。これらはUHS-IとUHS-IIを意味し、SDカードの速度規格を示します。
それぞれ解説するとUHS-I=初期のUHS規格で、理論上の最大転送速度は104 MB/s。UHS-II=より新しいUHS規格で、理論上の最大転送速度は312 MB/sとなっています。
また、SDカードの裏面にも違いがあります。
スピードクラス : V60 V90
主に動画撮影する人にとっての基準となるUHSスピードクラス(1,3など)とスピードクラス(V30など)があります。
UHSスピードクラスは、SDカードの速度規格を示すものです。UHSは"Ultra High Speed"の略で、SDカードの高速データ転送に関連して使用されます。UHSスピードクラスは、カードの書き込み速度を示す数字として表されます。現在は、UHS Speed Class 1 (U1)とUHS Speed Class 3 (U3)が一般的に使用されています。
- UHS Speed Class 1 (U1): 最低でも連続書き込み速度が10 MB/s保証されています。主に1080pのビデオ撮影に適しています。
- UHS Speed Class 3 (U3): 最低でも連続書き込み速度が30 MB/s保証されています。4Kビデオ撮影など、高解像度の動画撮影に適しています。
スピードクラスはそのままVに続く数字が秒間の最低保証速度を表しています。
最低保証速度 | スピードクラス | UHSスピードクラス | ビデオスピードクラス | 撮影可能フォーマット※1 |
---|---|---|---|---|
90MB/秒 | V90 | 8K | ||
60MB/秒 | V60 | 8K,4K | ||
30MB/秒 | 3 | V30 | (8K),4K,FHD,HD | |
10MB/秒 | 10 | 1 | V10 | (4K),FHD,HD,SD |
6MB/秒 | 6 | V6 | FHD,HD,SD | |
4MB/秒 | 4 | (FHD),HD,SD | ||
2MB/秒 | 2 | HD,SD |
ここでUHSスピードクラスとスピードクラスは何が違うのかという疑問が浮かぶ方もいると思いますが、上述したようにUHSはよりウルトラハイスピードの略であるため、文字通り、より高速の転送を行えるSDカードであるという意味です。
転送速度とスピードクラスの違いとは
ここまで説明を丁寧に読んでくださっている方の中で、じゃあ転送速度とスピードクラスは具体的に何が違うのか疑問に思った方もいると思うので解説しておきます。
結論から言うと、転送速度とスピードクラスは、SDカードの性能を示す異なる指標です。
- 転送速度は、SDカードがデータを読み込む、または、書き込む速度を表します。一般的にはメガバイト(MB)またはギガバイト(GB)単位で表されます。例えば、「100 MB/s」と書かれたSDカードは、最大転送速度が1秒あたり100 MBのデータを読み書きできることを示します。転送速度は、SDカードの性能を測る際の重要な指標の一つであり、高速なデータ処理を行うために重要です。編集時のデータのやり取りにも影響します。
- スピードクラスは、主に動画撮影に関連して使用されるSDカードの速度規格を示します。スピードクラスには、上記の表のようにクラス2(C2)からUHSスピードクラス3(U3)までのカテゴリーがあります。スピードクラスは、SDカードが最低保証する連続書き込み速度を表します。スピードクラスが重要な場面は高解像度の動画撮影時で、カードが十分な速度でデータを書き込むことができないと、映像の記録が途切れたり遅れたりする可能性があります。
要約すると、転送速度はSDカードの読み書き速度を示し、高速データ処理能力を示す指標です。一方、スピードクラスは主に動画撮影時の最低連続書き込み速度を示し、映像の安定した記録に関連しています。
容量 : SDHC SDXC
SDカードは実はその容量の大きさによって規格があります。
写真を見てもらえれば若干わかるかもしれませんが、表にすると以下のようになります。
-2GB | 4GB-32GB | 64GB- |
---|---|---|
SD | SDHC | SDXC |
私がカメラをやる中で規格が対応していないので使えないという経験はないですが、SDHCという規格が2010年の登場らしいので、それ以前のカメラなどを使いたい方は注意が必要です。
なお、SDXCに対応している機種の場合は、すべての規格に対応しています。
写真・動画撮影の環境に応じたおすすめSDカード
写真撮影
写真撮影のためのSDカードの選び方、最低限の必要条件としては以下の4つ程度です。
- 転送速度100MB/秒以上
- 容量16GB以上
- 評価が高いメーカーを選ぶ
- 互換性があるか
下記の表は写真一枚あたりおおよその目安の容量での撮影可能枚数です。1GB=1024MBで計算しています。
16GB | 32GB | 64GB | 128GB | 256GB | |
---|---|---|---|---|---|
RAW写真 (2,000万画素) | 819枚 | 1,638枚 | 3,276枚 | 6,553枚 | 13,107枚 |
RAW写真 (4,000万画素) | 182枚 | 364枚 | 728枚 | 1,456枚 | 2,912枚 |
Jpeg写真 (2,000万画素) | 2,730枚 | 5,461枚 | 10,922枚 | 21,845枚 | 43,690枚 |
Jpeg写真 (4,000万画素) | 1,638枚 | 3,276枚 | 6,553枚 | 13,107枚 | 26,214枚 |
この4つの中でも最も重要なのは書き込み速度です。価格の大小にも影響が一番あります。
選び方としてはあなたのカメラの画素数や連射を使う頻度から考えることができます。
Jpeg撮影で特に連射を多用しないと言う場合であれば、UHS-Iの転送速度が遅めの安価なSDカードでも十分です。
RAW撮影をする人、連射を多用する人であればUHS-Iでも転送速度が200MB/秒以上のSDカードかUHS-IIのSDカードが必須です。
動画撮影
動画撮影のためのSDカードの選び方、最低限の必要条件としては以下の4つ程度です。
- 転送速度150MB/秒以上
- ビデオスピードクラスV30(UHS SC3)以上
- 容量64GB以上
- 耐久性の高いカード
これらの基準を考慮してすると4K以上の解像度での撮影を行う人はPrograde Gold以上。(FHDなどであれば上記のSanDisk等のカードでもOK)
4Kでもビットレートの高い(保存する情報量が多い)撮影をする人やLog撮影する人はPrograde Cobaltがおすすめです。
このクラスのSDカードだと編集時の読み出しなどでも時間がかかるので、それ専用のリーダーを用いると作業の待ち時間を最小化できます。
Progradeのステマかと思われるかもしれませんが、違うのでご安心を(笑)
保証制度や耐熱性に優れていると思っているのでおすすめしています。
最後に伝えたいこと : SDカードはケチってはいけない
SDカードは記録さえできればいいやと思い、安価なものを買いがちですが場合によってはデータの破損、規格が非対応などトラブルが起こることもしばしばです。
一度投資として上位のSDカードを買ってしまえば、そのようなトラブルは発生しにくくはなると思うので、考えるのが面倒な方は評価の高いSDカード・UHS-II などの転送速度が速いものを買えばいいと思います。
以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!