撮影効率を維持しつつ、ハイクオリティな映像を撮影する方法をずっと考えていました。
これまで三脚を使い、動きのある映像を撮る時には手動で撮影していたものの、「かさ張る・疲れる・ブレる」といいことなし。
そこで、以前からずっと気になっていたDJIに新しいジンバルが出たということで、購入し2ヶ月ほど使用してみました。
結論、高いけど素晴らしい完成度だったため、その経験を共有します。
動画のクオリティを上げて成果を伸ばしていきたい人、動画撮影の手間を省き最小限の労力で動画制作をしたい人、必見の内容です。
DJI RS4基本性能概要
RS4 スペック | スペック詳細 |
アクセサリーポート | Roninシリーズ アクセサリー (RSA)/NATOポート 1/4-20 取り付け穴 コールドシュー 映像伝送ポート (USB-C) RSSカメラ制御ポート (USB-C) フォーカスモーター ポート (USB-C) |
バッテリー | 容量:3000 mAh 電力量:21 Wh 最大動作時間:12時間 充電時間:約2.5時間 推奨充電環境温度:5℃~40℃ |
接続 | Bluetooth 5.1 充電ポート (USB-C) |
ペイロード (積載可能重量) | 3kg |
動作環境温度 | -20℃~45℃ |
重量 | ジンバル:約1066 g グリップ:約203 g 延長用グリップ/三脚(プラスチック製):約183 g 上部および下部クイックリリース プレート:約98 g |
サイズ | 折りたたんだ状態:245×255×75 mm (長さ×幅×高さ。カメラ、グリップ、延長用グリップ/三脚を除く) 展開状態:370×191×189 mm (長さ×幅×高さ。高さには、グリップを含み、延長用グリップ/三脚は除く) |
DJI RS4で動画の何が変わるのか
ジンバル導入メリット
ジンバル導入を検討する方にとって、ジンバルを使うと得られるメリットというと、おおおよ以下の4つがあります。
- 安定性向上:ジンバルはカメラの揺れを抑えるため、手持ち撮影でもスムーズで安定した映像を撮影できること
- プロフェッショナルな見た目:揺れの少ない映像は視聴者にとって見やすく、よりプロフェッショナルな印象を与えること
- 動きの自由度:ジンバルを使うことで、歩きながらや動きのあるシーンでもスムーズにカメラを動かすことができ、ダイナミックな映像を撮影できること
- 疲労軽減:手ブレ補正をジンバルが担うため、長時間の撮影でもカメラマンの負担が軽減されること
これらのメリットにより、より高品質で魅力的な映像を簡単に撮影することが可能になります。
DJI RS4を買うメリット
次に個人的にDJI RS4(以下、RS4)を買うことによって、僕がいいなと感じた機能の概要について、簡単に説明します。
- ズームレンズが使えること
- スマホアプリから指定した時間・軌道でオート撮影ができること
- 電池持ちがいいこと
- Bluetooth接続で撮影オン・オフができること
- 縦/横の切り替えが簡単なこと
- 拡張性に優れていること
ズームレンズが使えること
ジンバルというのはカメラを搭載し、手動でバランス調整をすることで初めて使えるようになる代物です。
なので、ズームレンズなどで重心が変化してしまうと、うまくバランスが取れなくなることがあります。
私の動画撮影は常にワンオペで時間も限られているため、わざわざ画角を変えるたびにリバランスしなければいけないジンバルなら絶対に使い物にならないと思っていました。
しかし、RS4はズームレンズにも対応しています。
私の場合Sony FX30にFE24-105mm F4 G OSSをつけていますが、24mm側でも105mm側でも問題なくこの2ヶ月間動画撮影できました。
スマホアプリから指定した時間・軌道でオート撮影ができること
まずは簡単に機能を説明します。
無料の公式アプリを使用し、スマホとRS4をBluetooth接続します。(一度登録後、2度目以降はジンバルに電源が入っていれば自動接続)
次に「作成」という項目へ。
「トラック」という項目で時間と軌道の設定を行います。
ジンバルの開始点から終点までの任意の点(2つ以上)を設定し、何秒(1秒から2時間の設定範囲)かけて移動するかを決めます。
そうして画面下部の赤い録画ボタンを押すと自動で撮影を行なってくれます。
実際にこの機能を使い撮影した映像がこちら。
一人で全ての撮影をすることの多い人にとって、ジンバルを置いておくだけで撮影してくれる機能はアシスタントが一人増えたような感じで最高です。
電池持ちがいいこと
公式サイトの電池持続時間の理論値は12時間ですが、実際のところガンガン使っていると5-8時間くらいでなくなります。
外部環境(気温など)に左右されますが、個人的に自分の体力の方が尽きるスピードの方が早いので、バッテリーグリップ一本でこの持続時間なのは本当にありがたいです。
下記で詳細の話をしますが、バッテリーが足りない方は予備を購入いただくか、USB-Cで充電可能なので、モバイルバッテリーを持っているといいでしょう。
Bluetooth接続で撮影オン・オフができること
カメラとRS4をBluetooth接続するとRS4の手元ボタンで撮影開始と終了を制御できます。
なお、カメラとの互換性が必要となります。互換性の公式ガイドはこちら。
両手で持って撮影する必要があるため、いちいちカメラの録画ボタンを押していてはストレスが溜まると思っていたので、この機能は効率・快適度を上げる意味で使えるととても便利な機能です。
縦/横の切り替えが簡単なこと
構図として従来であれば横動画がメインであったところ、TikTokをはじめとした縦動画撮影の需要に応え、カメラの位置変更も非常に簡単にできるようなっています。
公式動画をご覧いただくとわかりやすいと思いますが、おおよそ1.ネジを緩めプレートを切り離す、2.縦にしてドッキング、3.ネジを締めるの操作で縦横の切り替えが可能です。
これらを操作するだけの約10秒程度での切り替えができます。
場合によっては再度バランス調整する必要がありますが、基本的にはそのまま撮影に移行できます。
拡張性に優れていること
NATOレールが2つ、USB-C接続が2本可能なので、公式アクセサリーのSmallRigなど他社製品を取り付けることが可能です。
フォーカスモーターをつけたり、グリップをつけ持ちやすくしたり、自分の撮影スタイルに合わせて自在にカスタムが可能です。
DJI RS4の主な特徴
DJI RS4 Proとの違い
主に違うのはペイロードや拡張性、アーム素材となっています。
RS4 Proはペイロードが4.5Kgとより重い機材を積載できるようになっており、推奨機材が
RED:Komodo + RF 24-70mm F2.8
Blackmagic Design:BMPCC 6K Pro + EF 24-70mm F2.8
Sony:FX6/FX3 + FE 24-70mm F2.8
Canon:C70/R5C/R3 + RF 24-70 mm F2.8
Nikon:Z9 + Z 24-70mm F2.8
Panasonic:S1H + L 24-70mm F2.8
となっています。詳細な比較はこちらの公式サイトからどうぞ。
拡張性として、第2世代LiDARフォーカスシステム(マルチポイント)対応、カーマウント、ステディカム、スライダー、ケーブルカム、ジブなどです。
アーム部分の素材をカーボンにすることで、サイズの拡大による重量増を軽減しています。
ものすごくざっくりとした比較で言うと、無印のRS4は個人撮影向けハイエンドジンバル。RS4 Proはプロ撮影向けのジンバルといえます。
DJI RS4 コンボセットはこんな人におすすめ
じゃあ、コンボセットというのは何かというと、拡張のアクセサリーがあらかじめ同梱されているかどうかの違いです。
フォーカスモーターは名前の通り、フォーカスや画角の調整を手元のダイヤルで操作できるようにする代物。ハンドルはローアングル撮影時にジンバルを安定的に持ちやすくするためのもの。
このダイヤルでフォーカスモータを操作できます。
この2つが欲しい方はコンボセット。必要ない方は単品でいいです。
DJI RS4(ジンバル)のセッティング方法
簡単にカメラの積載から撮影できるようになるまでのセッティングをご説明します。
全ての軸をロックした状態で、カメラを載せる
カメラを載せ、ジンバルを撮影時と同じ状態まで展開します。
このような形へ。
チルト方向のバランス調整
ここのロックのみを外し、自由に動く状態にします。
そして、手を離した状態でもほぼ水平で停止するようにカメラの重心をつまみを使って移動します。
ズームを頻繁に使う方は気持ち後ろに傾くくらいがちょうどいいと思います。
水平が維持できたら、次はカメラを上向きに。
ここでも写真のように静止した状態にする必要があります。
今度はアームの長さを変えます。
これでバランスを取り終えたら、またロックをし動かないようにして次の段階に行きます。
ロール方向のバランス調整
ここでもカメラがロックなしで、水平に維持できるようにします。
この状態はあまり良くありません。
このようにしっかりと水平になるようにしてください。
パン方向のバランス調整
ジンバルを傾けた状態でも、勝手にクルッと回らないように今度はこの部分を調整します。
一度設定して仕舞えば、レンズなどを変えない限り使いまわせるので非常に素晴らしい機構だと思います。
DJI RS4での撮影を快適にするアクセサリー
最後に私なりの不満を解消するために購入したアクセサリーについてご紹介します。
ジンバルのマイク取り付け問題
まず、マイクについて。
従来はカメラのシューにつけていましたが、ローアングルでの撮影時にアームに干渉するためこのようなアイテムを買いました。結果は大満足。
注意点としては指向性が前の方に向いているマイクでないと、手の音が入りかねないところ。
スーパーカーディオイド以上が望ましいと感じました。
純正品の問題
純正品のグリップハンドルもありますが、意外と嵩張るのが問題。
撮影するたびに畳んだりするのが面倒だと感じたため、あらかじめコンパクトなのをつけてしまう戦法。
これに関しては正直なくてもいいかなという程度で、あまりお勧めはしません。
DJI RS4の総評
価格は正直高いです。
ですが、これまで三脚禁止の場所での撮影は手持ちでやっていた辛さや画面の揺れの軽減具合から、映像にこだわりがあって、無意味な揺れや手ぶれに対し敏感に気になる方にとっては絶対に必需品となるものです。
起動から撮影可能になるまでも、5秒くらいなのでロスタイムも少なく快適に撮影ができます。
動画のクオリティを上げて成果を伸ばしていきたい人、動画撮影の手間を省き最小限の労力で動画制作をしたい人は、ぜひ一度ヨドバシカメラなどで実機に触れてみてください。
以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!