スマートフォン 機材解説

iPhone15Proモデル搭載カメラ性能解説|iPhone14Proモデルとの比較

2023,09/14

9/13に発表されたiPhone15シリーズ。目立った進化はあまり無いようにも感じられますが、カメラにおいては動画撮影機能が大幅に強化されました。

そこで今回は、なるべく用語を噛み砕いてわかりやすく、iPhone15Proモデルのカメラが写真・動画面でどのように変化・進化したのか解説していきます。

iPhoneのカメラを買い替えの一要素として重要視している人必見の内容です。

iPhone15Proモデル搭載カメラ性能解説

カメラの性能の一覧です。

※画角は35mm換算した値

カメラスペック一覧表

iPhone15ProiPhone15ProMax
メインカメラ
画素数4800万画素
(デフォルト:2400万画素)
画角24mm
F値f/1.78
手ぶれ補正第2世代のセンサーシフト光学式手ぶれ補正
フォーカス100% Focus Pixels
超高解像度の写真(24MPと48MP)に対応
メインカメラ(望遠)
画素数1200万画素
画角48mm(28mm,35mm)
F値f/1.78
手ぶれ補正第2世代のセンサーシフト光学式手ぶれ補正
フォーカス100% Focus Pixels
超広角
画素数1200万画素
画角13mm
F値f/2.2
手ぶれ補正
フォーカス100% Focus Pixels
望遠
画素数1200万画素
画角77mm120mm
F値f/2.8
手ぶれ補正光学式手ぶれ補正3Dセンサーシフト光学式手ぶれ補正
フォーカス
TrueDepthカメラ(液晶側正面カメラ)
画素数1200万画素
画角
F値f/1.9
手ぶれ補正自動手ぶれ補正
フォーカスFocus Pixelsを使ったオートフォーカス
ズーム
光学ズーム3倍の光学ズームイン
2倍の光学ズームアウト
6倍の光学ズームレンジ
5倍の光学ズームイン
2倍の光学ズームアウト
10倍の光学ズームレンジ
デジタルズーム最大15倍のデジタルズーム最大25倍のデジタルズーム
引用:Apple iPhone15Pro

15Proと15ProMaxの違いは14のときとは異なり、望遠レンズの焦点距離の違いのみになっていて、35mm換算でPro:77mm、ProMax:120mmとなっています。

メインカメラ(望遠)のクアッドピクセルというのは、1つの画素(ピクセル)が通常の1つではなく、4つの小さいピクセルから構成されるものを使ったものです。これにより、暗所であっても明るさや色を向上させることができます。

Pro/ProMax共通機能

写真機能
背面カメラ
・カスタマイズできるデフォルトレンズ(メイン)
・サファイアクリスタル製レンズカバー
・アダプティブTrue Toneフラッシュ
・Photonic Engine
・Deep Fusion
・スマートHDR 5
・フォーカス機能と被写界深度コントロールが使える次世代のポートレート
・6つのエフェクトを備えたポートレートライティング
・ナイトモード
・LiDARスキャナを活用したナイトモードのポートレート
・パノラマ(最大63MP)
・フォトグラフスタイル
・マクロ写真撮影
・Apple ProRAW
・写真とLive Photosの広色域キャプチャ
・レンズ補正(超広角)
・高度な赤目修正
・自動手ぶれ補正
・バーストモード
・写真へのジオタグ添付
・画像撮影フォーマット:HEIF、JPEG、DNG
液晶側カメラ
・Retina Flash
・Photonic Engine
・Deep Fusion
・スマートHDR 5
・フォーカス機能と被写界深度コントロールが使える次世代のポートレート
・6つのエフェクトを備えたポートレートライティング
・アニ文字とミー文字
・ナイトモード
・フォトグラフスタイル
・Apple ProRAW
・写真とLive Photosの広色域キャプチャ
・レンズ補正
・自動手ぶれ補正
・バーストモード
動画機能
背面カメラ
・4Kビデオ撮影(24fps、25fps、30fpsまたは60fps)
・1080p HDビデオ撮影(25fps、30fpsまたは60fps)
・720p HDビデオ撮影(30fps)
・シネマティックモード(最大4K HDR、30fps)
・アクションモード(最大2.8K、60fps)
・ドルビービジョン対応HDRビデオ撮影(最大4K、60fps)
・最大4K、60fpsのProResビデオ撮影(外部ストレージでの記録時)
・Logビデオ撮影
・アカデミーカラーエンコーディングシステム
・マクロビデオ撮影(スローモーションとタイムラプスに対応)
・1080pスローモーションビデオ(120fpsまたは240fps)に対応
・手ぶれ補正機能を使ったタイムラプスビデオ
・ナイトモードのタイムラプス
・QuickTakeビデオ
・ビデオの第2世代センサーシフト光学式手ぶれ補正(メイン)
・ビデオの光学式手ぶれ補正(3倍望遠)
・ビデオの3Dセンサーシフト光学式手ぶれ補正とAF(5倍望遠)
・最大9倍(iPhone 15 Pro)と最大15倍(iPhone 15 Pro Max)のデジタルズーム
・オーディオズーム
・True Toneフラッシュ
・映画レベルのビデオ手ぶれ補正(4K、1080p、720p)
・連続オートフォーカスビデオ
・4Kビデオの撮影中に8MPの静止画を撮影
・再生ズーム
・ビデオ撮影フォーマット:HEVC、H.264、ProRes
・ステレオ録音
液晶側カメラ
・4Kビデオ撮影(24fps、25fps、30fpsまたは60fps)
・1080p HDビデオ撮影(25fps、30fpsまたは60fps)
・シネマティックモード(最大4K HDR、30fps)
・ドルビービジョン対応HDRビデオ撮影(最大4K、60fps)
・最大4K、60fpsのProResビデオ撮影(外部ストレージでの記録時)
・Logビデオ撮影
・アカデミーカラーエンコーディングシステム
・1080pスローモーションビデオ(120fps)に対応
・手ぶれ補正機能を使ったタイムラプスビデオ
・ナイトモードのタイムラプス
・QuickTakeビデオ
・映画レベルのビデオ手ぶれ補正(4K、1080p、720p)

一推しポイント:iPhone14Proモデルからの進化

iPhone14Proから大きく変更されたポイントは正直ないと言っても差し支えないレベルの変更です。

※iPhoneの比較はApple公式サイトで行えます。

写真撮影機能の変更点

ですが、写真においては1つ注目すべき変更点があります。

  • メインカメラの画素数向上

iPhone14Proモデルおいても、最大の画素数は4800万画素と15とは変化がありません。

しかし、暗所などにおいては4つのピクセルを一つのピクセルとして、受光面積を向上させる手法の画素数が向上しました。

iPhone14Proモデルでは1200万画素であったのに対して、iPhone15Proモデルでは2400万画素と暗所でのノイズなどへの高感度耐性よりも解像感を優先させた変更がなされています。

完全に真っ暗な状態で撮影したりする機会はほぼないと思うので、望遠強化を売りにしているところを見るとクロップ(切り抜き)に耐えられるように画素数を多くしたと思います。

動画撮影機能の進化したポイント

動画においては4つ注目すべき追加機能があります。

  • Logビデオ撮影
  • アカデミーカラーエンコーディングシステム
  • 外部ストレージへのProResビデオ直接録画
  • 空間ビデオ撮影

これら4つの機能が新しく追加されました。

用語が専門的なので、以下解説していきます。

Logビデオ撮影とは

Log撮影というのは主に映画製作やビデオ制作の分野で使用される用語で、高ダイナミックレンジ(High Dynamic Range、HDR)映像を作成するための手法です。通常、カメラが一般的に収録する映像は、限られたダイナミックレンジ(明るさと暗さの差)を持っており、ハイライト(明るい部分)やシャドウ(暗い部分)の詳細が失われがちです。

Log撮影では、以下の画像のように非常に低いコントラストで映像を収録します。

これにより、明るさと暗さの両方の情報がより広い範囲で記録され、ハイライトやシャドウの詳細が維持されます。その後、映像編集やカラーグレーディングの段階で、この低コントラストの映像を通常のコントラストに調整し、普段私たちが目にする映像のようにするものです。

アカデミーカラーエンコーディングシステムとは

カラーアカデミーエンコーディングシステム(Color Academy Encoding SystemACES)は、映画制作およびビデオ制作業界で使用されるカラーグレーディングとカラーコレクションのための業界標準のカラーマネジメントシステムです。

ACESは、映画やテレビ番組などのプロの映像制作プロセスで、一貫性のあるカラーグレーディングを実現し、異なるカメラ、ディスプレイ、ソフトウェア間での色の整合性を保つために設計されました。

つまり、業界標準の規格を導入したことで真面目に、iPhone撮影映画が作れるということです(笑)

外部ストレージへのProResビデオ直接録画

Type Cへの恩恵のひとつです。

引用:Apple公式YouTube:Introducing iPhone 15 Pro

iPhoneのストレージが増えているとはいえ、ProResなどの容量が大きい映像を長時間撮影した素材を端末に保存するには限界があります。

そこで外部ストレージへ保存できれば、長時間録画が可能になるわけです。

LogやProRes素材は重いのでUSB Type Cにしたことでクラウドを経由せずにデータのやり取りがしやすくなったので、さらに簡単に高画質なVlogなどを気軽に撮れるようになったということです。

空間ビデオ撮影

Apple Vision Pro用の映像を撮影する機能で、使い所はかなり限られている動画を撮影できます。

通常であれば、専用の機材を用いて撮影する必要があるため、ポケットサイズのiPhoneでVR用の撮影が撮影可能なのはかなり凄いこと。

今現在では、必要とする人がかなり限られているために不要な機能かと思われるでしょうが、一見すると無用な長物に見える機能も将来的なガジェット販売のための布石・余力でしょうね。

USB Type C搭載による写真・動画関連のメリット

Proにおいては充電速度の向上などが見込める変更点ですが、他にも転送速度がLightning端子よりも向上することによって、写真ではRAWデータのやり取りなどが、動画ではLogやProResなどの大容量の素材のやり取りがしやすくなりました。

予測ですが、動画では外部ストレージへのProResビデオ直接録画ができるようになったということは、写真でもアプリ次第ではカメラとiPhone15Proを有線接続してテザー撮影が可能でもあるということです。

このためにより、制作のワークフローにおいてPCがなくても、撮影しながらiPhoneで取り込む→編集→アップロードというようにある程度完結するようになったとも言えるでしょう。

USBメモリ、高速な外付けストレージ、4Kディスプレイ、マイクなどのUSB-Cデバイスを接続できるようになりました。iPhoneからApple WatchやAirPodsに充電することもできます

Apple公式

iPhone15Proでできるかどうかは不明ですが、レコーダーなどもUSB-C接続をしてデータを取り込むことができそうで制作の効率化が図れそうです。また、

ちなみに、AppleはUSB3と表現していますが、USB 3.1 Gen 2の最大速度10Gビット/秒です。

最後に伝えたいこと : 望遠機能が強化

Proモデルも無印モデルも共に光学ズームの強化や解像度が向上したことによりクロップをしても耐えれるようになりましたね。

広角などはあまり触れられていなかったためおそらく、そこまで進化がないのでしょう。

望遠機能を使いたい人、USB-Cを用いて色々と制作を行いたい人にはおすすめの機種です。

以上で終わりです。最後まで読んで頂きありがとうございました!

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